年末 福澤諭吉

己卯除夜(福澤諭吉)

作者 福澤諭吉 原文 己卯除夜 今是昨非嗟己遅 春風秋月等閑移 頭顱四十六齡叟 老卻一年無一詩 訓読 己卯除夜 今是昨非 己の遅なるを嗟(なげ)く 春風 秋月 等閑に移る 頭顱四十六齡の叟 老却して一年に一詩無...

高杉晋作 年末

庚申歳暮(高杉晋作) / 庚申歳暮

作者 高杉晋作 原文 庚申歳暮 疎才自笑此生迂 何日文章泝老蘇 課業未終年又盡 寒燈相對我慙吾 訓読 庚申歳暮 疎才 自ら笑ふ 此の生の迂なるを 何れの日か 文章 老蘇に泝(さかのぼ)らん 課業 未だ終らずして年又た尽く 寒灯 相ひ対して...

家族 福澤諭吉

憶二子航米國在太平洋上(福澤諭吉) / 二子の米国に航して太平洋上に在るを憶ふ

作者 福澤諭吉 原文 憶二子航米國在太平洋上 月色水聲遶夢邊 起看窗外夜凄然 煙波萬里孤舟裡 二子今宵眠不眠 訓読 二子の米国に航して太平洋上に在るを憶ふ 月色 水声 夢辺を遶(めぐ)る 起きて窓外を見れば夜 凄然たり...

高杉晋作

學舍偶成(高杉晋作) / 学舎偶成

作者 高杉晋作 原文 學舍偶成 不爲浮名屈此身 靑天白日見天眞 明倫館裏談経義 畢竟明倫有幾人 訓読 学舎偶成 浮名の為めに此の身を屈せず 青天白日 天真を見る 明倫館裏 経義を談ずるも 畢竟 明倫するは幾人か...

西郷隆盛

偶成(西郷隆盛)

作者 西郷隆盛 原文 偶成 我家松籟洗塵縁 滿耳淸風身欲仙 謬作京華名利客 斯聲不聞已三年 訓読 偶成 我が家の松籟 塵縁を洗ふ 満耳の清風 身は仙ならんと欲す 謬って作(な)る 京華 名利の客 斯の声 聞かざ...

家族 吉田松陰

拜先考墳淚餘作詩(吉田松陰) / 先考の墳を拝して涙余 詩を作る

作者 吉田松陰 原文 拜先考墳淚餘作詩 治久邦家天歩艱 才疎自悼保生難 高墳重祭又何日 好向黄泉苦問安 訓読 先考の墳を拝して涙余 詩を作る 治 久しくして邦家の天歩 艱(なや)み 才 疎くして自ら悼む 生を保つことの...

西郷隆盛

田獵(西郷隆盛) / 田猟

作者 西郷隆盛 原文 田獵 驅兎穿林忘苦辛 平生分食犬能馴 昔時田獵有三義 勿道荒耽第一人 訓読 田猟 兎を駆り 林を穿ち 苦辛を忘る 平生 食を分かちて 犬能く馴る 昔時 田猟に三義有り 道(い)ふなかれ 荒...

勝海舟 幕末

過遠州灘(勝海舟) / 遠州灘を過ぐ

作者 勝海舟 原文 過遠州灘 丹心憂國幾艱難 西走東奔未處安 大海風波何足恐 一年三過遠州灘 訓読 遠州灘を過ぐ 丹心 国を憂へて幾艱難 西走東奔して未だ安きに処らず 大海の風波 何ぞ恐るるに足らん 一年 三た...

家族 西郷隆盛

秋曉(西郷隆盛) / 秋暁

作者 西郷隆盛 原文 秋曉 蟋蟀聲喧草露繁 殘星影淡照頽門 小窗起座呼兒輩 溫習督來繙魯論 訓読 秋暁 蟋蟀 声喧しくして 草露 繁し 残星 影 淡くして 頽門を照らす 小窓 座より起ちて児輩を呼び 温習 督し...

吉田松陰 幕末

蘇道記事(吉田松陰)

作者 吉田松陰 原文 蘇道記事 蘇道梅天不耐涼 山郷風物異他郷 新秧插後麦猶緑 方是家家蚕事忙 訓読 蘇道記事 蘇道の梅天 涼に耐えず 山郷の風物 他郷に異なる 新秧 挿したる後 麦 猶ほ緑にして 方に是れ 家...

家族 吉田松陰

遊銚子口過潮来宿宮本庄一郎家(吉田松陰)/ 銚子口に遊んで潮来に過ぎり、宮本庄一郎の家に宿る

作者 吉田松陰 原文 遊銚子口過潮来宿宮本庄一郎家 孤牀半夜夢難成 聽斷四檐點滴聲 回首山河郷國邈 阿兄今夜定何情 訓読 銚子口に遊んで潮来に過ぎり、宮本庄一郎の家に宿る 孤牀 半夜 夢 成り難く 聴断す 四檐の点滴の...

大久保利通 幕末

王政維新之年下淀川(大久保利通) / 王政維新の年、淀川を下る

作者 大久保利通 原文 王政維新之年下淀川 爲客京城感慨多 孤篷此夕意如何 水關不鎖鷗眠穏 千里長江載夢過 訓読 王政維新の年、淀川を下る 客と為って京城 感慨多し 孤篷 此の夕 意 如何 水関 鎖(と)ぢず 鷗眠...

大久保利通

下最上川(大久保利通) / 最上川を下る

作者 大久保利通 原文 下最上川 千章夏木雨痕鮮 一棹孤舟下大川 屈曲淸流奇絶處 米家水墨是天然 訓読 最上川を下る 千章の夏木 雨痕 鮮やかに 一棹の孤舟 大川を下る 屈曲する清流 奇絶なる処 米家の水墨 是...

高杉晋作

鈴鹿山(高杉晋作)

作者 高杉晋作 原文 鈴鹿山 喬木陰森暗古關 英雄挫賊是斯間 敝衣孤劍客中老 秋雨重過鈴鹿山 訓読 鈴鹿山 喬木 陰森として古関暗し 英雄 賊を挫くは是れ斯の間 敝衣 孤剣 客中に老ゆ 秋雨 重ねて過ぐ 鈴鹿山...

大塩平八郎

洗心洞裏新夏即事(大塩平八郎)

作者 大塩平八郎 原文 洗心洞裏新夏即事 讀書之外人聲少 啼鳥之中燕語新 況此雨零花盡静 宛如卜築避風塵 訓読 洗心洞裏新夏即事 読書の外 人声少なく 啼鳥の中 燕語新たなり 況んや 此の雨零(お)ち花尽きて静かな...

伊藤博文 京都

丁卯初夏與石川等諸兄話時事席上即賦一 絶以呈(伊藤博文) / 丁卯初夏、石川等諸兄と時事を話し、席上、即ち一 絶を賦し以て呈す

作者 伊藤博文 原文 丁卯初夏與石川等諸兄話時事席上即賦一 絶以呈 那翁元是起孤島 厭伏歐羅建偉功 此間男子豈空老 機決須揮一世雄 訓読 丁卯初夏、石川等諸兄と時事を話し、席上、即ち一 絶を賦し以て呈す 那翁 元と是れ 孤島より起こり 欧羅を...

後藤象二郎

漫遊中作(後藤象二郎) / 漫遊中の作

作者 後藤象二郎 原文 漫遊中作 南船北馬歳如流 白髪壮心歌莫愁 休道前途知己少 靑山到處是幷州 訓読 漫遊中の作 南船北馬 歳 流るる如し 白髪 壮心 歌へば愁ひ莫し 道(い)ふを休(や)めよ 前途 知己 少なし...

後藤象二郎

偶成(後藤象二郎)

作者 後藤象二郎 原文 偶成 丹心許國死與生 豪氣欲呑横海鯨 六尺鐡槍三尺劔 秋風躍馬入新京 訓読 偶成 丹心 国に許す 死と生と 豪気 呑まんと欲す 海に横たはる鯨 六尺の鉄槍 三尺の剣 秋風 馬を躍らせて新...

華岡青洲

秋夜即事(華岡青洲)

作者 華岡青洲 原文 秋夜即事 半夜寒燈自寂寥 月明烏鵲繞庭條 窗前蟲語聲也切 旅客擧頭歸思遙 訓読 秋夜即事 半夜の寒灯 自ずから寂寥 月 明らかにして烏鵲 庭条を繞る 窓前の虫語 声や切にして 旅客 頭を挙...

作者

華岡青洲(はなおか せいしゅう)

宝暦10年10月(1760年11月)~天保6年10月(1835年11月)。世界初の全身麻酔下手術を成功させた江戸時代の外科医。諱は震(ふるう)、通称は雲平、号は青洲。また、華岡家当主が代々用いた号・随賢も名乗った。 紀伊国那賀郡の医者、華岡直道の長男として生ま...

華岡青洲

門生請題於余自像即綴短句述其懷云(華岡青洲) / 門生、余の自像に題するを請ふ、即ち短句を綴りて其の懐を述べて云ふ

作者 華岡青洲 原文 門生請題於余自像即綴短句述其懷云 竹屋蕭然鳥雀喧 風光自適臥寒村 唯思起死回生術 何望輕裘肥馬門 訓読 門生、余の自像に題するを請ふ、即ち短句を綴りて其の懐を述べて云ふ 竹屋 蕭然として 鳥雀 喧(か...

木戸孝允

勧學(木戸孝允) / 学を勧む

作者 木戸孝允(桂小五郎) 原文 勧學 駑馬雖遅積歳多 高山大澤盡堪過 請看一掬泉巖水 流作汪洋萬里波 訓読 学を勧む 駑馬 遅きと雖も歳を積むこと多ければ 高山 大沢 尽(ことごと)く過ぐるに堪へたり 請ふ看よ ...

大久保利通

山口木戸氏新宅賦一詩呈主人(大久保利通) / 山口の木戸氏の新宅にて一詩を賦し主人に呈す

  作者 大久保利通 原文 山口木戸氏新宅賦一詩呈主人 風流本自屬君堂 名嶺入窓水繞廊 誰識幽情此裏味 老梅花上月明香 訓読 山口の木戸氏の新宅にて一詩を賦し主人に呈す 風流は本(もと)自ずから君が堂に属す 名嶺 窓に入り...

大久保利通

乙亥冬日圍棋偶作兼送松陰君(大久保利通) / 乙亥冬日、棋を囲みて偶(たまたま)作り、兼ねて松陰君に送る

作者 大久保利通 原文 乙亥冬日圍棋偶作兼送松陰君 寒燈挑盡夜沈沈 雪敲閑窗和棋音 誰識局中存妙趣 爭心元是屬無心 訓読 乙亥冬日、棋を囲みて偶(たまたま)作り、兼ねて松陰君に送る 寒灯 挑(かか)げ尽くして夜 沈沈 ...

中岡慎太郎

丁卯春隨五公卿在筑紫公卿閉門更厚加謹慎予等亦倣公之為日夜感慨悲哀之情不能止偶賦一詩(中岡慎太郎)

作者 中岡慎太郎 原文 丁卯春隨五公卿在筑紫公卿閉門更厚加謹慎予等亦倣公之為日夜感慨悲哀之情不能止偶賦一詩 誤來書劔百年身 幾逢他郷暦日新 風雨喚醒京國夢 滿窓山色未成春 訓読 丁卯春、五公卿に随ひて筑紫に在り、公卿門を閉して更に...

松平春嶽 幕末

偶作(松平春嶽)

作者 松平春嶽 原文 偶作 我無才略我無奇 常聽衆言從所宜 人事渾如天道妙 風雷晴雨豫難期 訓読 偶作 我に才略無く 我に奇無し 常に衆言を聴きて宜しき所に従ふ 人事は渾て天道の妙なるが如し 風雷 晴雨 予め期...

作者

中岡慎太郎(なかおか しんたろう)

天保9年4月(1838年5月)~慶応3年11月(1867年12月)。幕末の志士。慎太郎は通称、諱は道正。号は遠山、迂山など。 土佐の大庄屋中岡小傳次の長男として生まれ、安政2年(1855年)頃から武市半平太の道場に入門して剣術と尊王攘夷思想を学んだ。文久元年(...

詠史 陸奥宗光 牢獄

獄中讀史(陸奥宗光) / 獄中に史を読む

作者 陸奥宗光 原文 獄中讀史 夜深偶對歐州史 興廢輸贏似奕棋 雨撲山窗燈影暗 讀來邏罵滅亡時 訓読 獄中に史を読む 夜深くして偶(たまたま)対す 欧州史 興廃 輸贏 奕棋に似たり 雨 山窓を撲ちて灯影暗し 読...

松平春嶽

感懷(松平春嶽)/ 感懐

作者 松平春嶽 原文 感懷 更漏沈沈夜正長 西窓繙帙倚筐牀 現華燈底明如晝 閲到英書第幾章 訓読 感懐 更漏 沈沈として夜 正に長し 西窓 帙を繙きて筐牀に倚る 現華灯底 明らかなること昼の如し 閲し到らん 英...

作者

松平春嶽(まつだいら しゅんがく)

文政11年9月(1828年10月)~明治23年(1890年)6月。幕末から明治にかけての大名・政治家。第16代越前福井藩主。諱は慶永(よしなが)。号は春嶽、礫川、鴎渚など。薩摩の島津斉彬・土佐の山内容堂・伊予宇和島の伊達宗城とともに四賢侯と称せられた。 御三卿のひと...

松平春嶽

偶成(松平春嶽)

作者 松平春嶽 原文 偶成 眼見年年開化新 研才磨智競謀身 翻愁風俗流浮薄 能守忠誠有幾人 訓読 偶成 眼に見る 年年 開化の新たなるを 才を研き 智を磨きて 競ひて身を謀る 翻って愁ふ 風俗の浮薄に流るるを ...