大久保利通の漢詩(6) 下最上川(最上川を下る)
作者
原文
下最上川
千章夏木雨痕鮮
一棹孤舟下大川
屈曲淸流奇絶處
米家水墨是天然
訓読
最上川を下る
千章の夏木 雨痕 鮮やかに
一棹の孤舟 大川を下る
屈曲する清流 奇絶なる処
米家の水墨 是れ天然
訳
最上川を下る
彩りあふれる夏の木々は雨上がりの色鮮やかに
一隻の小舟が大河を下っていく
清流が曲がりくねって景色がすばらしいところを見ると
まるでかの米芾の水墨画のようだが、実は画ではなく本物の自然なのだ
注
千章:「章」は「美しい模様、飾り、彩り、あや」の意味。彩りあふれるさま
雨痕:雨にぬれたあと。
一棹孤舟:一隻の舟。「棹」は舟をこぐ際に用いる「さお」だが、舟を数える量詞としても用いる。
奇絶:すぐれてめずらしい。非常に素晴らしい。
米家:米芾。北宋の画家・書家・文人(1051~1107)。
餘論
明治9年6月、大久保利通は置賜・山形・鶴岡の3県(8月にこの3県は合併して山形県となる)を巡視し、6月12日に最上川を舟で下っています。この詩はその際に作られた詩です。
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