陸奥宗光の漢詩(2) 春晩卽事(春晩即事)
作者
原文
春晩卽事
嫰雲點綴夕陽天
好就紫藤花下眠
吹面斜風還不惡
夢醒閑漱小池泉
訓読
春晩即事
嫰雲 点綴す 夕陽の天
好し 紫藤花下に就いて眠らん
面を吹く斜風も還って悪からず
夢醒めて閑かに漱ぐ 小池泉
訳
春の夕暮れの出来事
やわらかな雲が点々と夕焼け空に散らばっている
よし、紫の花で彩られた藤棚の下で横になって眠ることにしよう
顔に向かって斜めに吹いてくる風もかえって、悪くはないものだ
ほどよいところで夢が覚め、小さな泉で静かに口をすすぐことができた
注
卽事:事にふれてその場のことを題材として詩を作る。また、その詩。
嫰雲:やわらかな雲
點綴:点を打ったようにあちこちに連なる。ほどよく配置する。
好:「よし、~してくれ」、「よし、~しよう」のように肯定の意思をあらわす言葉
還:かえって
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