伊達政宗の漢詩(7) 春雪落梅
作者
原文
落梅
花落乾坤風未吹
樹間料識有黄鸝
不然行客惱春色
自入梅林折一枝
訓読
落梅
花落つるも乾坤 風 未だ吹かず
樹間 料り識る 黄鸝の有るを
然らずんば行客 春色に悩み
自ら梅林に入りて一枝を折りしならん
訳
散った梅の花
花が散っているが、天地に風は吹いていない
推しはかってみるに、木々の間をウグイスが飛びまわって散らしてしまったのだろう
そうでないとすると、旅人が春景色に心乱されて
自然と梅林の中に入っていって一枝折ってしまったのであろう
注
乾坤:天地。
料識:推しはかって知る
黄鸝:ウグイス。
不然:そうでないとすれば
行客:旅人
餘論
風もないのに散ってしまっている梅の花を見て、その理由を想像するという内容の詩です。想像の中で、満開の花の中、ウグイスが枝から枝へ飛びまわり、春景色に心乱れる旅人が枝を折り去ります。しかし、眼前の現実の景色にはウグイスも旅人もなく、花も散ってしまった後です。この対比によって梅が散ってしまった寂しさが強調される仕組みになっています。
なお、この詩は花を女性のメタファーとして用いる古典の伝統を踏まえたものとする見方もあり、そうであれば、なおさら上記の対比は効果的といえます。
なお、この詩は花を女性のメタファーとして用いる古典の伝統を踏まえたものとする見方もあり、そうであれば、なおさら上記の対比は効果的といえます。
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