伊藤博文の漢詩(2) 灘浦眺望(灘の浦眺望)
作者
原文
灘浦眺望
輕舸如飛截水行
風烟絶處是華城
欲雨又晴晴未定
摩耶山上片雲横
訓読
灘の浦眺望
軽舸 飛ぶが如く水を截りて行く
風烟 絶ゆる処 是れ華城
雨ふらんと欲して又た晴れ 晴 未だ定らず
摩耶山上 片雲横たはる
訳
灘の海辺の眺め
軽やかな船がまるで飛ぶように水を切って進んでいく
風にたなびく靄が途絶えるところに見えるのが大阪の街
雨が降りそうな天気がやがて晴れたが、まだ晴天が定まらず
摩耶山の上にちぎれ雲が浮かんでいる
注
輕舸:軽くて速い船
華城:大阪。浪華。
摩耶山:神戸市灘区にある。六甲山地の中央に位置する標高702mの山。
餘論
『藤公詩存』での配列によれば明治初年頃の作と見られますので、兵庫県知事在任中に詠じたものかと思われます。
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